庭の木に咲いていた花です。もっと明るいうちに撮った方がよかったかな?まあいいか。ところでこの花は桜?そんなわけないかなあ。自分の家の庭の木の名前も分からないというボケな竜でした。(管理人エラノールが自分は竜だの写真家だの言っても、そう、信じちゃいけない。誰も信じないと思うけど。)
2006年5月アーカイブ
明るい光が差し込む森がある。綺麗な花が満開の桜の木の下に一人の少年がいる。十代半ばかわずかに下。整った精悍な顔つきに細い体をしていて短い黒髪に銀色の目を持つ。クリーム色の長ズボンにねずみ色の半袖Tシャツの上から黒いジャケットを着ている。荷物を下ろして座っている。
そこに馬の蹄の音が近づいてきた。カッカッカッカっと走っているような足音だ。少年は音のする方へ振り返った。現れたのは荷物を積んだ茶色い馬に跨り大きなフードつきの白いローブを着た十代半ば程の少年。隼のような足にくちばしのある隼のような頭。紫の羽がびっしりと生えている。西洋風の愛用の剣と鳥の頭のような形の兜がぶら下がっている。
「ガルム、ずいぶんと探したよ。」
馬に跨る旅人が言う。
「探したってどういう意味だよファルコン。」
ガルムと呼ばれた少年がファルコンという名前らしい少年にぶっきらぼうに言う。ぶっきらぼうに返したガルムとは反対にファルコンには穏やかな好青年のような雰囲気がある。元々彼は穏やかな性格だ。
「二月頃にコルビからガルムと適当に打ち合わせしろって指示があってね。」
馬から降りながら言う。それから鞍と荷物を下ろし始めた。
「それでずっと探してたのさ。シグとはもう打ち合わせはしたよ。相変わらずからかいやら冷やかしやらが好きなんだね、彼女は。」
いつもの穏やかな口調で言う。ファルコンの姿が急に消え、消えると同時にガルムの隣に現れた。テレポートだ。彼はテレポーターなのだ。彼は十歳になるかならないか位の頃、彼の国は大規模な噴火に呑み込まれた。彼はその国の王子様だった。その国は隼族の国だった。隼族とは隼の妖怪と人間の血が混ざった混血の種族だ。その国ではテレポーターの彼だけが生き残った。彼はテレポートだけでなく剣術や馬術にも長けている。
ガルムとコルビ、それにシグとファルコンの四人はレンジャーと呼ばれる秘密裏に治安を守る組織だ。その存在を知る人物はほとんどいない。第四隊までありガルム達は第四隊だ。他の隊のレンジャーと顔を合わせる事は滅多にないし普段メンバー達は一人で旅をしているため同じ隊の者ともあまり会わない。一つ一つの隊にその隊を指揮する指揮官がいて、その上に四つの隊全てをまとめるいわば大ボスのような存在の一人の人物がいる。第四隊指揮官はコルビだ。ガルム達第四隊は通称「混血隊」と呼ばれている。理由は言うまでもなく全員が混血だからだ。コルビにはおそらく超人族の血が混ざっているだろうがそれすらも疑わしい。超人族はとても美しい不老不死の種族だ。明るく優しくて賢明で強い体を持っている。猛暑も極寒も身にこたえない。だがコルビは不老不死だが不死身でもある。どんな傷でも瞬時に再生する。毒の類もあまり受け付けない。
「僕はあの国で派手にやってきた(殺ってきたと言うべきか)からあそこはだいたい片付いたかな。」
ファルコンが言う。
「じゃあそういう事で打ち合わせは終わりだな。この頃物騒なせいか戦闘が多いな。」
ガルムが言う。
「ところでさ、普段他の隊員と距離がものすごく離れてるのによく一つの隊が成り立つなって思った事ないかい?僕達の指揮官はテレパシーが使えるからいいかもしれないけど。」
ファルコンが言う。
「いくらテレパシーが使えてもあまり役に立たねえよ。ある程度離れると使えなくなる。範囲がかなり限られてるそうだ。」
ガルムが言う。
「不便だねえ。それにあまり会わないのにこれだけ仲良しになるのも不思議だよね。」
ファルコンが世間話をするような口調で言う。
「そうだな。俺とシグは幼馴染みだけど他の奴ともすごく親しいのは確かに不思議だな。あまり会わないのに。」
二人が合流する何日か前にコルビはビブロストを出た。
「ばいばーい。」
由紀が言う。コルビは背中を向けて歩き去りながら軽く片手を上げた。
<解説>
ガルム放浪記のタイトルが旅人放浪記に変わりました。第一話の時に述べたようにガルム放浪記っていうのは仮タイトルのようなもので変わる場合があります。主役は一体誰かと言うと主役はメインキャラの五人です。(由紀、ガルム、コルビ、シグ、ファルコンの五人)