カラスことコルビに連れられて風使い由紀が到着する
次の日、二人は出発した。
「ばいばーい、ファルコン、シグちゃん。」
赤音が言う。
「ばいばい。」
「さよなら。」
シグとファルコンが言う。二人は去って行った。(一頭、つまりキールももちろん含めて)
さて、その頃
「たく、もっと通りやすい道作れっつの。」
そうぼやきながら切り立った崖の階段を登る一人の少年がいる。十代の半ば程かそれより下で大きな銀色の目に整った精悍な顔つきをしている。クリーム色のズボンにねずみ色の半袖Tシャツの上から黒いジャケットを着ている。背中には重たそうな、でも邪魔にならない程度の大きさの旅荷物を背負っている。少年、つまりガルムはしばらく登っていくと踊り場に着いた。洞窟の入口がある。階段はさらに上へと延びている。ガルムは洞窟に数歩入った。少したつと黒い光が渦巻いた円のようなものが現れた。
「やっぱりな・・・」
ガルムが呟いた。これはワープホールと呼ばれる魔界への入口だ。
山の中の道を一台のバイクが走っている。積もってはいないが辺りには雪が舞っている。でも三月かもしくは四月頃だ。運転手は十代半ば程かそれより下の少女だ。短い黒髪にベージュの前に小さな鍔がついた帽子にゴーグルとグローブをして黒い長ズボンにベルトを締めフードつきのジャンバーを着ている。バイクの脇を真っ黒な長袖長ズボンに黒いフードつきのマントを着た美しい背の高い妙齢の女性が飛行している。エメラルドグリーンの目を持ち長い黒髪を後ろでまとめてフードを被っている。
「まだなの?コルビ。」
バイクの運転手が女性に訊いた。
「焦らないで由紀。本当にもうすぐよ。そろそろあんたにも見える距離じゃないかしら。」
コルビと呼ばれた女性が答えた。
「だってコルビは昨日かおとつい位から見えてきたなんて言うんだもん。」
由紀と呼ばれた運転手が言う。
「私の五感は野生動物よりも優れてるって言わなかったっけ。第六感もね。」
コルビが言う。
「言った。」
と由紀。
「あ」
由紀が言い、バイクを停止させた。崖の下には緑に囲まれた集落があった。
「あれだね。」
「ええ。」
そう言葉を交わして再び走り出した。
二人は集落の入口にある詰所で審査官からいくつか簡単な質問をされから集落に入った。入ってしばらく歩いていると何人かのがっしりした体型の大きな男達が近づいてきた。
「お前の名は?」
「増田由紀、です。」
男の一人に訊かれ、由紀が驚きながら答える。
「まちがえないな?」
男がコルビに訊いた。
「ええ。」
コルビが答える。
「ついてこい。」
由紀とコルビは言われるままに男達についていった。しばらく歩くと大きな屋敷があった。この集落、つまりビブロストの長の屋敷だという。案内された書斎のような部屋の奥には三十代程の男が何か書き物をしていた。白くて長い服をまとっている。
「会えて嬉しい。それとカラス、よく連れてきてくれた。コルビと言ったっけ?」
「はい、長。」
コルビは長と呼ばれる男に言う。
「増田由紀と言ったな、よく来てくれた。」
男は由紀と同じような茶色い目をしていた。
「すでにケストに一度襲われた事は聞いた。闇の世界の生き物は闇の世界の外にでることはできないが、ケストと、ほんの一握りの闇の世界の外の生き物の血が混じった者は別だがな。さもなければ世界はとっくに滅んでいる。」
長が言う。
「なぜ、私をここに?」
由紀がたずねた。
「風使いとして学ぶ事がある。」
その日の晩は長の舘に泊まる事になった。
案内された部屋でくつろぐ二人。
「え?知らなかった。」
由紀はコルビに自分達は秘密裏に治安を守る団体だという事を知らされた。コルビとガルム、それとあと二人仲間がいるという。ちなみにコルビがリーダーだ。その事を知るのはごく少数の者だけだ。
「絶対秘密にしといてね。」
コルビに言われ。
「うん。」
「あ、それとあなたは命を狙われてるからここでしばらくかくまわれる事になったのよ。」
「あ、えっと・・・そうか、私は世界を救う風使いだもんね。でも闇の世界の連中って外にでられないんじゃまかったっけ?」
コルビと由紀がやりとりする。
「ケストは例外だし、闇の世界に迷い込んできた奴を取り入れたりもするわ。」
明日由紀に会わせたい人物がいるらしい。それは由紀も知っている人物で・・・・
主題詞
Belive in dream earth
あてもなくさまよい たどり着いたこの地
時は流れ全て過ぎても
冷たい雨に打たれながら目指す地
I belive in that earth
旅は続きそして過ぎて行く
belive in dream earth
どこにいてもそこにある
信じる場所がdream earth
<解説>
長いですね。前回解説するの忘れてましたがファルコンは英語で隼という意味です。シグというのは意味とかは考えてつけられた名前じゃありませんが最初はシアという名前になる予定だったんですがなんか発音しにくいのでシグにしました。今回の主題詞はガルムやコルビやシグやファルコンの旅のテーマのつもりです。まあ、一番旅人歴が長いのはコルビさんですけど。本人も自分の過去を誰にも言おうとしないので正確に何年旅人してるのかは不明ですしなぜ旅人になったのかは分かりません。
あぁ・・・斜め読みしかできましぇ~ん。確実におばさん向けではないお話になってきてしもた・・・
見てるとなんだか「Kingdom Of Heaven」でのボードワン4世の登場シーンを思い出すのですがどうしてかなぁ?ん?
ナマリエ!