これは例の金婚式の日に撮った写真。街の夕暮れって感じっすねえ。夕日を見ながらため息ついてみたり。一日仕事や学校行ってると夕方には疲れてため息ついてしまう・・・。まあ、帰ってくるのは夕方ではなく夜中って方もいると思うけど。
※今日のお話※
ガルム放浪記 第五話 旅の途中
さて、このお話から異世界の事が語られます。
霧が晴れた山道をバイクで走る人間がいる。少年だ。シールドが黒くて他の部分は白いヘルメットをかぶり、クリーム色のズボンにグレーのジャンバー。十代半ばかそれより下だ。山道を下へ下へと走って行く。やがて緑に囲まれた集落に着いた。
「はあ・・・やっと着いた。」
この地に足を踏み入れる人間はほとんどいない。いるのはこの集落の人間と、動物達位のものだ。行ってみようとする人もたくさんいる。だが、実際に行けたひとは一人もいない。例外を別にして。
集落の出入口には小さな詰所があった。審査官はいくつか質問をして少年に集落に入る許可を出した。ガルムと名乗った少年はバイクで走って行った。
ガルムは馴染みの喫茶店に訪れた。バイクを停め荷物を止めてあるネットに挟まった黒い鍔つき帽をかぶり喫茶店に入る。そこにいる客達は、犬のような耳がついている者、手に鋭い鉤爪がある者、猫のような体に人間のように服を着ている者、等々、人ならざる者達が集まって思い思いの事をしていた。その人ならざる者たちは魔界と呼ばれる世界から来た者たちだ。その世界には妖怪や悪魔、魔界の人間、超人族と呼ばれるとても美しい不老不死の種族等が住んでいる。
店の店主にガルムは紅茶を注文した。
「しばらくだなガルム。」
店主が言う。
「やあ、オリバート。」
ガルムにオリバートと呼ばれた店主は紅茶を出した。
「相変わらず怪しいな、カラスと言う呼び名だったっけ。また奥にいる。」
ガルムが言う。店の奥にいるのは黒い長ズボンに長袖の服、それと黒いマントを着た女性だ。一人で座って何か飲んでいた。
「あの真っ黒な服をどうにかすればいいんんじゃないのか。」
とオリバートが言う。その時カラスと呼ばれている女性は立ち上がって入口の方に歩いていった。ガルムの後ろで立ち止まり顔を少し彼の方へ動かした。彼女の言いたい事がガルムには分かった。(一緒に来るかどうか尋ねた)ガルムは急いで紅茶を飲み干してお金を払ってカラスと一緒に店を出た。
「久しぶりね、ガルム。」
カラスが言う。
「そうだなコルビ。」
彼女はコルビという名前らしい。彼女の黒いマントを留めているブローチは赤くて丸く、カラスのシルエットが描いてある。
「お前かなり程怪しいぞ。」
ガルムがバイクを押しながら言う。
「あなたは友達なんだから不審者と勘違いしたりしないわよね。」
コルビがいつもの無表情で言う。
「まあ闇の魔術師なんてそんなものよ。」
コルビは付け足した。魔界は二つの世界に分かれていて一つは光の世界と呼ばれる超人族や魔界の人間など、主に善良な者達が住む所、そしてもう一つは闇の世界と呼ばれる悪魔や凶暴な妖怪など、主に悪が住む所だ。闇の魔術師とは闇の力を使う魔術師を言う。あまり善良といえるような力ではない。むしろ悪の対象とされる事が多い。コルビは本当に陰気だ。
その日の晩二人は宿屋に泊まった。
「あなたの父は魔狼だものね。」
コルビが言う。二人は部屋でくつろいでいる。コルビはいつもは後ろでまとめてある黒くて長い髪は今はおろしている。彼女は青ざめたような白い肌をしている。その白さは異常だ。額には暗い赤色の透き通った色をしている、宝石にも見える石が埋め込んである。(これはおしゃれではありません)
「母は人間だけどな。叔父が族長の座を狙って父を殺し、親戚も殺された。俺と母は殺されなかったが母は悲しみのあまり自殺・・・」
ガルムは暗い過去を改めて話すのだった。コルビは自分の過去を誰にも語ろうとしない。そして二人の旅人はそれぞれの旅の話をするのだった。それにはもちろん由紀の話もあった。
<解説>
とにかく魔界とは妖怪や悪魔やその他の(人間もいますが)人ならざる者がいる所です。カラスことコルビの名前の由来ですが、コルビとはラテン語でカラスという意味です。ちなみにガルムの名前は北欧神話の冥界の番犬ガルムから引用しています。恐れという意味があるそうです。
あ~なんやわからん名前がいっぱい出てきてるやん・・・おばちゃんは・・つらかったりする。
こんな所で歳を披露しなくてもいいのに・・・。