この間撮った写真。いやあ、自信作なんですけど皆さんはどう思います?きれいじゃない?(分かった分かった)空がきれいですね。それに何となく構図おもしろいし。(思いっきり自画自賛)
※今日のお話※
ガルム放浪記 第四話 しばしの別れ
最近この小説の話ばっか・・・・真面目に予告しよう。さて、かの殺し屋も去り、また、ガルムも旅立ちます。
斬殺鬼ことケストが去っていった体育館でガルムはぐったりとした由紀の前にかがんでいた。
「ねえ今のこと誰にも言わない?」
由紀が言う。当然特殊能力のことだ。
「絶対、誰にも言わない。」
ガルムは約束した。ポケットから何かを取り出した。入れ物だった。中にはクリーム状の物が入っていた。ガルムは由紀の制服の袖をまくり上げ包帯を取った。傷は赤く腫れ上がり血がにじみ出ていた。
「こ、これは・・・」
ガルムははっとした顔になったがあのクリーム状の物を傷に塗った。
「これを塗ったことは内密にしといてくれ。奴のナイフには毒があるんだ。あの毒のことを知る者はほとんどいない。これは解毒剤なんだ。」
ガルムが言った。由紀が頷いた。包帯を戻し、一度取ってキャップストラップにぶら下がった黒い鍔付き帽子を目深にかぶり由紀を抱きあげて体育館の裏口に向かって歩きだした時に警官達がどかどか入ってきた。ガルムは完璧無視して歩いていた。
「不審者はどこに行った?」
と警官。
「消えた。」
とガルム。彼は裏口から出て生徒や先生がいるグランドに入った。由紀はガルムに抱かれていたせいでなんとなく恥ずかしかった。生徒達はそれを見てひそひそ話だした。
「増田大丈夫かよ。ていうかあいつ誰?」
由紀の同級生の周(しゅう)がおなじみのメンバー健太(けんた)と凉(りょう)に話していた。日常で由紀や美紀に嫌味っぽくて彼女を困らせてばかりだがこういう時になると心配する。やはり保育所の時から一緒だからだ。
ガルムは由紀にもう旅に出ると伝えた。
「また会えるかな?」
由紀は心配そうに言う。
「そのうち会うさ。」
旅人の少年は優しく微笑んだ。学校の横に停めてあるバイクを取りに行った。バイクの後ろには旅荷物が積んである。帽子を荷物を固定してあるネットにはさみジャケットのチャックをしめてグローブをはめ、ヘルメットをかぶった。白いヘルメットでシールドは黒くて外側から顔が見えないだろう。
「ちょっと待って!まだ行かないで!」
警官が引き留める。事件に関わっているからだろう。
「彼に指図できる人は滅多にいないと思うよ。」
由紀は自分を抱いている養護の先生の目も気にせずに呟いた。
「これ以上の長居は無用だ。悪いな。あばよ!」
そう言って彼はエンジンをかけてさっさと行ってしまった。
「困りましたねえ。」
と警官。それよりバイクに乗っていい歳なのかからつっこむべきだ、と由紀は思った。身長は160センチ程で14歳と自分で言っていたが16歳と言ってとおるだろうか?由紀以外彼はバイクに乗っていい歳なのか事実を知らないが由紀は彼の年齢を知らない事にするつもりだった。寂しさと、また会える予感とが胸をよぎるのだった。
その後由紀は少し学校を休んだがすぐに元気を取り戻して復帰した。ガルムが塗ってくれた薬のおかげだろうか。その薬の事を由紀は誰にも言わなかった。あの災難の二日以降はまた平和な日々が訪れた。
あれから一ヶ月以上が経つ。一人の旅人が朝もやがかかっている山の中をバイクで走っていた。もう一月なので雪が積もっている。
「由紀・・・・・」
旅人は呟いた。11月に訪れた星山村(由紀の住んでいる村の名前)の事を不意に思い出したようだ。その村にいた一人の少女の事を。少年だ。十代半ばかそれより少し若そうな。クリーム色のズボンにグレーのジャンバーを着てグローブをしている。少年はバイクを停止させ崖の下を見下ろした。下には緑に囲まれた集落の様な所があった。少年は再びバイクで走っていった。目的地を目指して。ガルム放浪記の序章は終わり、本番(と表現すればいいだろうか)に移っていくだろう。
<解説>
劇中で初めて由紀の村の名前が登場しました。これで無理矢理だけど季節感が合うな、うん。
今回はバイク関連の描写に力が入っていますな。